株式会社JEXS
 ◆中途採用の選考こそ慎重を期する必要がある

中途採用で人材を採用する場合、新卒採用に比べその選考プロセスはいたってシンプルなもの、というのが大部分の企業の実態である。
果たして、これでいいのか。


キャリアには魔物が取りついている

中途採用には、履歴書以外に職務経歴書の提出を求める。
どこでどのようなキャリアを積んできたかを知るためには当然である。
中には、名門大学を出て大手企業でキャリアを積んできた、いわゆるエリート街道を歩んできた者も目にしたりすることもある。

しかし、ここに落とし穴があるのだ。
人は、ブランドに弱い。特に、日本人は。
大学名と企業目を見た瞬間に、バイアスがかかってしまい、その結果、本質的な能力面のチェックを怠り、過大評価してしまうのである。

クラスター 意思決定系能力 対人特性系能力 個人特性系能力
ディメンション 要点把握力 分析力 解決力 決断力 計画組織力 管理統制力 影響力 説得・対話力 柔軟性 対人感受性 コミュニケーション力 第一印象 率先性 能動性 ストレス耐性 自立一貫性


大手企業出身者を採用した中堅・中小企業の悲哀

中堅・中小企業で大手企業出身者を採用した例を耳にすることがある。
しかし、その人材の入社後の評価は、ほとんどの場合深刻なものである。
ろくに仕事をせず、地位に胡坐をかいている。
何かあると、以前の在籍していた会社を引き合いにだし無理をいう。
自分が不利な状況に陥ると、知識を盾にとって抵抗しようとする。
といった内容が多い。

これらは、キャリアだけをみて、そのブランド力に騙されて採用してしまった悪しき例である。
特に、大手企業出身者の転職は人材紹介会社経由が多いが、人材紹介会社は、商品(人材)をよく見せるために、そのブランドを誇示したり、表立った業務内容をアピールしたりする。それに惑わされ、採用にゴーサインを出してしまった結果なのである。
そもそも大手企業の人材構成には、優劣に大きな差がある。
いうなれば、一握りの幹部候補とその他働き蟻というような構造である。
働き蟻といっても、高学歴者が大部分を占めるので、事務的な作業能力は高く、大手企業の看板を背負っているので取引先もそれなりの対応を示してくれる。ルーティーンにはもってこいの人材だ。しかし、それ以下ではないがそれ以上でもないので、年齢と共に生産効率の悪い人材と化してしまう。そうなると、企業側も排除しようとする動きになってくる。そんな背景もあり、人材紹介会社に登録するというのがお決まりのパターンなのである。
一方、優秀な人材は、よほどのことがない限り人材紹介会社に自ら登録をすることはない。会社で中核としてバリバリ働いているのが当たり前で、転職の場合、スカウティングによるものが多い。
したがって、人材紹介会社経由の大手企業出身者にはそれなりの何かがあると見た方がいいであろう。


中途採用だからこそ選考は慎重に

わかりやすい例えとして、大手企業出身者を採用したケースを引き合いに出したが、そもそも中途採用の場合、もっと慎重に選考を進めるべきである。
新卒に比べ、いい意味でも悪い意味でも「癖のついた」人材だからである。そういう意味においては、見極めはむしろ新卒採用よりも慎重を期さなければならないはずなのだ。
確かに、在職中の求職者が多いので、なかなか時間をとることが難しい状況ではある。
しかし、それならばそれなりの方法もある。

ひとつは、面接のテクニックである。
本人のしゃべる内容に関し、その深層心理に踏み込んで精査するプロファイリングという手法である。これには、面接官として資質を備えた者がトレーニングをすることによって可能となる手法ではあるが、その理論を学び、意識しながら面接するだけでも効果がある。

そしてもうひとつは、筆記(試験)によるプロファイリングである。
これは、問題が出来上がってさえいれば、面接官の資質とは関係なく実施できるので、踏み切りやすいであろう。

いずれにせよ、中途採用の選考に関しては大部分の企業で一考の余地が残されている。
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