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◆新卒採用は超売り手市場という現状を理解せよ |
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2014年3月卒の大卒求人倍率は、1.28倍。
この1.28という数値だが、バブル最盛期の2.86倍と比較すると企業有利の買い手市場の感は否めない。
また、マスコミも内定を得られない学生をクローズアップするので、採用する企業側も悠長に構えているところが多い。
しかし、実態は『超売り手市場』といっても差し支えない状況なのだ。
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学生数の増加・質の劣化
1987年卒の民間企業就職希望者数が約25万人に対して2014年卒は、40万人超。少子高齢化によって、この世代の人口が減っているにも関わらず、大学進学率の上昇により大学生数は倍増している。
さらに、1987年から2014年までの中・高生の学力が下がっているのは周知の事実である。
これらが物語っているのは、1987年卒の大学生と2014年卒の大学生とを比較すると、大学生が質的に劣化しているということである。
何も学力だけでそこまでという意見もあるだろうが、学力の偏差値と思考力(意思決定系)とは整合することが検証されている。
更に、受験勉強で養われる忍耐力・持久力・責任感等、精神的な側面においても偏差値の高低によって差が出てくる。
したがって、企業戦士たる能力面において学生の質が劣化していることは明らかなのである。
選考を慎重に実施している企業のベテラン人事担当者の方々からうかがった話をまとめると、バブル期に選考に耐えうる(選考するに値する)学生が約5割だったのに対し、昨今では約3割に落ち込んでいるという実感を持たれている。
この理由だが、ゆとり教育による学力の低下もさることながら、親を含めた社会全体の過保護化による精神的な脆弱化もその大きな要因と考えられる。
したがって、選考に耐えない7割の学生には「性格は良いのだが・・・」という枕詞が殆どの場合添えられる。
確かに昨今の学生は、就職活動に対しても生真面目に取り組んでいる学生が多く、実際に面接をしてみても、育ちの良さを感じさせる者が多い。しかし、それ以上の何かが欠けている者が多いのである。
仕事で求められる能力と性格の良し悪しは似て非なるもの。何も不自由ない環境で育ってきた者は、何も困らなかった者。結局、あれがしたい、これがしたいという欲望に対しては無頓着な者が多い。結局、新しい何かを見出そうとする内面的なベクトルが希薄なのである。そして、そのような者をビジネスの最前線に立たせるには役不足というしかない。
求人倍率は学生総数でみても意味がない
企業は、誰でも採用するわけではない。自社の選考基準に見合った者しか採用しない。
この考え方は、特にバブル崩壊後に多くの企業に行き渡った。
バブル期には採用数必達のため、あえて選考基準を落として採用する企業が多かったのであるが、最終的にその層はバブル崩壊後のリストラ対象となったからである。つまりは、選考基準を落とした採用はハイパフォーマーをなかなか生み出さないという結論を多くの企業が出したのである。
即ち、本当の意味での求人倍率とは、次の式に基づくものなのである。
本当の意味での求人倍率 = 総求人数/選考に耐えうる学生数
これを、前述した選考に耐えうる学生は3割という言葉に当てはめた場合、2014年の求人倍率は、なんと4.26倍になってしまうのである。
甘く見積もって、半数の企業が7割の学生まで選考に耐えうると仮定しても、求人倍率は約3倍ということになる。
現在の新卒採用市況は、もはや超売り手市場といっても過言ではない状況にある。
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