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◆採用面談の手法はどのようなものがあるか |
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面接の技術は実は多岐にわたっている。JEXSではかなり以前から、その方法を米国の文献などを参考にして紹介してきた。しかし、ほとんど普及していないように思える。国内で発売されていたり、頒布されているテキストを見ても、科学的な裏づけはほとんどない。遅々とした状況で、苛立ちを覚える。大半の企業も直接会って5分くらい雑談したらわかるという声が非常に多く、それよりも母集団形成にコストを割く。
しかし、ここに来て少し情勢が変わってきた。絞込みの角度が高くなったからである。
面談には、以下を代表にたくさんの方法がある。
①過去の経験を聞く方法
②状況を与えて対処を掘り下げて聞く方法
③期待基準を示し、その発揮が可能かを説明させる方法
圧倒的に多いのが過去経験法である。これによると、新卒の場合、学生時代のサークルやゼミ、アルバイトなどでの経験を聞くことになる。しかし、学生の活動がそのまま社会人としての職務経験に通用するとは考えがたいし、あまり意味がない。一方、学生たちも、対策本を見て、学生時代の経験を少しでもよく見せるようにホラを吹いたりする。無意味である。この方法が有効なのは中途採用で、同一または類似の職務経験があり、その経験を活かして今後の職務で活躍するかを予測することである。バーマンという人の本によると、あるアパレル店の例が示されており、被面接者はそれまでの店舗経験に基づいて、入店した顧客に対する対応を説明することが求められる。その人の仕事に対する感度がわかり、十分な意味があるだろう。
状況面談は一定の状況を口頭または文書で与えて被面接者に説明させる方法である。これは状況を一定にできるため、標準化が行ないやすい。また、信頼性が高いという報告もある。しかし、日本ではほとんど普及していない。本来、このような面談を自社独自に設計し、評価基準を決めて導入すべきだろう。
期待基準ベースの面談も今後、可能性がある。
また、1対1の面談(1-on-1 interview)だけではなく、グループ討議、パネルインタビューなども今後、増やすべきである。この技法も十分に使いこなせている採用担当者は決して多いとはいえない。
採用実務は季節労働であり、多忙を極める。2回転もすると、離職してしまう会社もある。ある上場会社は、大量の採用を行なっていたが、数年間、採用担当になると、ワンシーズンやると、全員が辞めることが3年続いたという例もある。こういう状況こそ改善すべきだが、オフシーズンに採用担当者がしかるべき訓練をきちんと受け、スキルアップしつつ、楽しみながら採用選考力を習得することが望ましい。
担当者は参考書を教えてほしい、ノウハウを教えてほしい、と言い出すことも多い。しかし、選考力は観察、記録、統合、評定などのプロセスを丹念にたどることで向上する。通勤途上に新書を読んだら急に力がつくようなものではない。特に面接内容の記録を取れるかどうかが大きい。スキルが高くなれば、短い面談でも自信を持って選考することができるようになる。
今年こそ、充電する採用担当者が出てくることを期待したい。
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