|
|
|
|
|
◆採用面接はなぜ失敗するのか? |
|
いろいろな企業のベテランの採用担当者にこれまで何人もお会いした。共通することは好感度が高いことである。その意味で、いい人選が行なわれていると思うことは多かった。
若手担当者には美男・美人も多く、俳優になってもおかしくないという印象を与える人もいた。よって、学生に対し、好印象を与えるという意味においては大きく貢献している人が多いのであろう。
しかし、逆に、こと選考の専門家としてどうなのかというと、適任者は意外にも少なく、3割に満たないというのが率直な感想である。理由はいろいろある。
まず相手とのやり取りの内容を分析できていないことである。
相手の与える外見を重視し、その雰囲気で合否だけが先行している。米国の採用選考のテキストに書かれているのだが、面接を行なうと、8割の場合、最初の2分で合否が決まっているそうである。実際、着席して1~3分で結果を決めている担当者は多い。それでは、30分以上面接を行なう意味がない。結論を保留し、分析的に見ないと、総合評価を行なえない。どうやって選考手順を踏むかは別途説明したい。
次に経歴主義である。
経歴を無視せよということはない。しかし、経歴で絞るなら、面接するまでもない。もっと早い段階で絞りきってしまえばいいことだ。絞ったあとになお、経歴でステレオタイプの判断をするなら、それは過剰である。
いずれにしても判断が早すぎるが、丁寧に面接するコツは次のような手順を踏むことである。
①基本的に投げかける基本質問を予め決めておくこと。
例えば5つは決めておく。多すぎると、掘り下げができない。
②やり取りを聞いて、過剰な相槌を打つのではなく、記録を取ること。
評定票に露骨に記述するのはいやらしく映るので、面接終了後でもよい。特に複数で面接を行なった場合、質問と相手の回答を確認し、その上でどういう評価をするのかを話し合う。その時間を十分に取ってから、次の面接に進むべきだ。つなぎ時間がなさ過ぎる。我々が人材アセスメントを行なう際も、満足のいくアセスメントが行なえたと感じるのは、この統合会議が頻繁かつ全員が納得するまで行なえた場合である。せわしくなく行なうと、評価はぶれてしまう。
③思い込みとも思える人物観を見直すこと。
数学ができたら頭がいい。頭がいいから適応力がある。その他、その人の思い込みが非常に氾濫している。そして、実際のやり取りではなく、そんな人物観に沿って「いい人材」を決めている。
④採用ミスは必ずあるが、その際の教訓を活かすこと。
採用して配属した新人の全てが現場の期待に応えるわけではない。どの程度の成功率が適正か、一概に言えないが、その調査を行なうべきである。何故、ローパフォーマーなのか、選考時に誰がどのような評価を下したのか、これらを振り返り、次なる採用基準作り、そして選考への展開に常につなげている会社は意外に少ない。
採用担当者が看板的によくても、選考力という観点でのトレーニングが肝要である。
|
|
|
|
|