株式会社JEXS
 ◆選考基準における仮説に対する一考

多くの企業は次のような仮説に基づいて人材選考を行い、それによって優秀で、将来、高業績を生み出すと予測している。
果たしてこのことが妥当なのであろうか。
本編では、あえて、これら仮説に対し逆説を唱えてみる。


1.優秀な人材は高業績を生み出すはず。
⇒ 優秀であることに侮蔑心、協調性欠如などが伴う可能性あり。

2.優秀な人材は「頭が切れる」。
⇒ 従業員実在者に組織不適応者が多発、別の意味でキレやすいことも。

3.優秀で高業績型の人材は「汎用性」が高いので、どんな仕事もこなす。
⇒ 職種により期待基準は異なるし、同じ職場にある程度多様な人材が配置されているべき。異質な個性がチームを作る。

4.学歴の銘柄度合(「有名大学」)が基礎能力の代理指標になり、優秀度を予測する。
⇒ 入試の多様化、特に私立大学では、英語+地歴中心、数学なし。クイズ的な入試。推薦だけのパターンも。

5.知識の多い人は優秀である。
⇒ 記憶力、学習力で新たな仕事を習得するのか?

6.自信性の高い人(「自己効力感」、self-efficacy)のある人材は達成意欲がある。
⇒ 大学生から社会人になると、それによって自己効力感の背景が変化する。一流と呼ばれる大学生が一流と呼ばれない会社に入ったら、胸を張っていられるか。また、その逆もある。

7.達成意欲がある人材は有能で、高業績を生み出す。
⇒達成意欲は<気質特性>のうち、ヒステリー<負けず嫌い>を指しており、<他罰性>+<衝動性>、理性、自制心の欠如でもある。高ヒステリー人材は本来組織には合わない。

8.人材の優秀度合いと、人格障害や人格破綻は関係しない。
⇒知能指数が上位1%以内の場合、ビジネスや人生に失敗する確率が高く、平均的な場合、おおむね成功しているという報告がある。-Daniel Goleman(1999) "Working with Emotional Intelligence"など


いかがであろうか。

本編は、何も、これら仮説に真っ向から反駁するものではない。仮説のみならず、逆説もまた仮設である。しかしながら、これらの仮説は、高度経済成長期以降、数十年間ほとんどその形を変えていない。しかし、その一方で大学生(若者)の質は、大きく変貌を遂げてきた。自分で全てをなさなければならなかった貧しい時代から、周りが全てを用意してくれる豊かな時代への変遷である。

また、企業のあり方も大きく変化してきた。時代の流れが加速度を増してきた昨今、マーケットのニーズも刻一刻と変化する。即ち、これまでの『堅持』、いわゆる静のスタイルから、『変化』や『柔軟』、『挑戦』といった動のスタイルへの転換である。

この様に、『人』も『企業』も大きく変わってきているのである。

もはや、これら選考基準は迷信(?)と化しているのかもしれない。

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