株式会社JEXS
 ◆コーチングは指導育成、人材開発のための手持ち札のように使おう!

コーチング(coaching)という言葉が最近注目されている。コーチとは、相手の目標を達成させるため、その能力を引き出すことをいう。

「コーチ(Coach)」という言葉が登場したのは15世紀で、元来「馬車」という意味があり、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味合いがそこから生じた。1840年代には、英国オックスフォード大学で、学生の受験指導をする個人教師のことを「コーチ」と呼んでいた。スポーツの分野で使われるようになったのは、1880年代のことで、ボート競技の指導者が「コーチ」と呼ばれた。

マネジメントの分野でコーチという言葉が使われ始めたのは1950年代のことである。Myles Mace(ハーバード大学)が"The Growth and Development of Executives"(1959年)という本の中で、「マネジメントの中心は人間であり、人間中心のマネジメントの中でコーチングは重要なスキルである」と述べている。

1980年代になるとコーチングに関する出版物が登場した。例えば、"Passion for Excellence"(1985)Tom Peters、"Coaching for Commitment"(1989) Dennis Kinlawがある。1987年には、マネジメント・セミナーが開催され、そこではアメリカを代表するコーチ--George Allen・プロフットボール監督、Red Auerbach・プロバスケットボール監督、Tim Gallwey・インナーゴルフの著者、John Wooden・大学バスケットボール監督他コーチング研究者--が一同に介してコーチングのテクノロジーにについて、語っている。

コーチングには様々な技法があるとされている。列挙しよう。

1.ねぎらう(acknowledgement) 相手の努力、働きに感謝し、労をねぎらい、動機づける
2. 明確化する(clarify) 今いる状況を明確化する
3. 結果を先にみせる(consequence the client) 長期のヴィジョンを持たせる
4. 指示する(directing) 支配的にならず指示する
5. 一歩退く(back off) 起こっていることを静観する
6. モデルになる(be a model) コーチ自身の生き方、考え方、言葉づかいがモデルになる
7. ニュートラルな調子で話す(charge neutral) 感情的にならずに直接的に話す
8. アクションプランを立てる(create an action plan) 複数のゴールを達成したい場合に有効
9. 質問を作り出す(generate questions) 的確な質問をする
10. メッセージを伝える(messaging) 端的に言いたいことを伝える
11. 問題に気づかせる(awake problem) 状況を真剣に捕らえさせる
12. 発送を変えさせる(reframe) 事実に対する見方をシフトさせる
13. 提案する(suggesting) 押しつけあるいはおもねりにならず直接的に提案する
14. 要望する(requesting) 直接的に要望をする
15. 妥協を止める(stop tolerating) あきらめや無力感から抜け出す
16. ゴールを2倍にする(double the goal) 強要せずに挑戦させる
17. 共感する(empathize) 困難な状態をサポートする
18. 励ます(encourage) 必要に応じておしみなく与える
19. 事実を把握する(get the fact) 事実とそれに対する解釈とを区別する
20. 宿題を出す(give homework) 行動に焦点と構造を与える
21. 反応に敏感になる(inkle) 自分の身体や内側で起こる反応を敏感に察知する
22. レッテルを貼る(labeling) 起こっていること、感じていることに明確な言葉を与える
23. 注意深く聞く(listening for) 216種類の言語化/非言語化されたものを聞き分ける
24. 見えていることを伝える(share what you see) 見えていることをあるがままに伝える
25. 優先順位を付ける(prioritize) 最も機能するやり方を創り出す
26. 「小さな成功」を創る(create a quick win) 物事に勢いがつき、自信が蓄積される
27. 全てを正直に言う(say it all,say it straight) 第三の目の役割を持つ
28. 種を蒔く(seeding) 半年後、1年後、5年後に必要になることを予測する
29. ペースを決める(set the pace) コーチングの適切なペースを決める
30. 沈黙する(silence) 成長や気づきが起こるチャンスを創る
31. ひとつに特定する(single out one area) たくさんの選択肢の中から選ぶ
32. 基準を設ける(set standards) よりよいコーチングをするための環境づくり
33. 戦略を練る(strategize) どのようにゴールを達成するかを決める
34. 構造を用意する(install structure) 望む状態をより早く、確実に手に入れる構造を創る
35. 価値に基づかせる(value-basing) 持っている価値感を引き出す
36. ヴィジョンを描く(visioning) 明らかに見えていることを描く



参考文献
Coaching for Performance (People Skills for Professionals); John Whitmore; Paperback
Why Customers Don't Do What You Want Them to Do and What to Do About It; Ferdinand F. Fournies; Paperback
Coaching Skills: A Guide for Supervisors (Business Skills Express); Robert William Lucas; Paperback
Effective Police Supervision; Harry W. More, et al; Paperback
The Heart of Coaching: Using Transformational Coaching to Create a High-Performance Culture; Thomas G. Crane; Paperback
Copyright© 2010 JEXS All Rights Reserved                                                                                     著作権/リンク | 個人情報保護方針 | お問い合わせ