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◆企業はなぜ人事改革を行なうのか? |
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企業はこれまで何度か人事改革を行なってきた。1つは70年代以降からの職能資格制度の導入である。もはや死語であり、改革の旗印にすらならない「職能資格制度」だが、90年頃までは人事改革の代名詞だった。この本質は、役職不足の解消である。それまで管理職になることをインセンティブにしてきたが、人員構成が歪になり、昇進させらなくなった。そこで、昇進に代わる昇格をインセンティブにすることにした。しかし、昇格でいちいち昇給させていると、報酬管理がオにくくなった。また、仕事をしても昇格しない層を作らざるを得ない。それが性差別賃金の問題を生むことにもなった。やがて職能資格制度は諸悪の根源のように言われるようにもなった。職能資格制度をめぐる性差別賃金の訴訟があちこちで勃発し、会社側は敗訴することになった(森ます美の著作を参照されたい)。
90年代になり、仕事と賃金の乖離は大きな問題になった。
@ 中高年の賃金は仕事の内容や活躍度から見ると、異常に高い。
A 総合職などの形で雇い入れた女性が活躍しつつあるが、年功賃金のベースに乗せていいのか。いい悪いは別。
B バブル期に入った層が管理職候補になってきており、自動昇給させられない。
これらの問題意識から成果主義が叫ばれ、人件費抑制が進められた。女性の採用は抑制され、非正規雇用へと一気に舵取りされた。しかし、人事改革がモチベーションなどとの兼ね合いで苦しくなっていることも事実である。
現在、いろいろな会社に共通する問題は次のようなことである。
@ 会社の好況期に採用したバブル社員が中高年になりつつある中、どう処遇するか、悩ましい。3割程度は退職募集などで削減しないと、内部構成がおかしくなるという声がある。そのための受け皿会社を作ろうとする動きもある。
A 非正規雇用の正社員化である。非正規雇用で長年、働いてきた人材にはすぐに正社員の文化になじめない部分もある。しかし、この問題を克服し、再教育し、組織自身が歩み寄って、組織の戦力にしようという声がある。
B 女性の戦力化である。長い目で見て少子化は不可避である。したがって、優秀な女性が応募し、定着化し、一定のキャリアを展開しながら、働ける環境作りは関心がもたれるようになってきている。
女性の戦力化に絞ると、改めて仕切り直すことが難しい面もある。今後の課題とすれば、本当に優秀な人材なら、相手の男性や家庭の都合で辞めるのではなく、相手の男性が会社を辞めてしまうような条件を出さないといけないだろう。そオて、コア人材ではない部分については職務に応じた時間給で、市場価格で買い叩かないことである。専門性と経験、習熟に応じた処遇をすれば、適正な価格で人材を獲得できるし、内部の人材も放出する機会を得ることができるはずである。
バブル世代の早期退職、非正規雇用の登用に関してはまた改めたい。
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